ネガティブ・ケイパビリティの重要性とは?
職場で「問題はすぐに解決してナンボ」とか「自分でやったほうが早い!」といった声に心当たりはありませんか?目先の利益とスピーディーな成果ばかり追い求めていると、組織全体がじわじわと苦境に追い込まれるかもしれません。
本記事では、そんな職場に必要な「ネガティブ・ケイパビリティ」の思考と行動について、組織開発のプロが400以上の企業や自治体の支援実績から導き出した効果的なアプローチをご紹介します。
このキーワードが、なぜ今の企業文化にとって重要なのか、詳しく解説していきます。
ネガティブ・ケイパビリティという言葉を聞いたことがありますか?これは、一言で言うと「確実ではない状況を耐え、疑問や不確実性・曖昧さを抱えた状態を許容する能力」のことです。
問題が一瞬で解決することはなく、時には立ち止まり、考える時間が必要になることがあります。
それを許し、受け入れる力こそがチームにとって大切なのです。
職場での会議がいつも「で、あなたはどうしたいの?」という質問で終わるのであれば、それはネガティブ・ケイパビリティが欠乏しているサインかもしれません。
急ぐばかりで深く考える機会を失っていませんか?訪れる解決策が真の解決をもたらすかどうかをしっかりと考え、行動に移すことが、結果として長期的な利益をもたらすことになります。
エピソードから見るネガティブ・ケイパビリティの欠如
この本の第1部では、ネガティブ・ケイパビリティの欠如が企業にどのような悪影響をもたらすかを、具体的なエピソードを通じて紹介しています。
例えば、「自分でやったほうが早い!」とのことでマネージャーやリーダーが仕事を抱え込む光景は、多くのチームで見られます。
この状況は一見効率的に見えるかもしれませんが、実際には部下の成長機会を奪い、チーム全体の能力向上を阻害しています。
リーダーだけが全てを抱える状況では、組織の成長は限定的になってしまいます。
また、他のエピソードも印象的です。
「ポジティブであれ!」を強要される職場では、実際には効率的な解決策を生み出せず、不健康な楽観主義に陥りがちです。
これでは新しい視点や斬新な解決策が生まれにくくなります。
組織がこういった状態に陥ると、社員一人一人の考える力や発言の自由が失われ、結果としてイノベーションの機会を逃してしまうのです。
ポジティブとネガティブの共存戦略
「ポジティブ・ケイパビリティとネガティブ・ケイパビリティは対立概念ではなく共存概念」という視点が、第2部では強調されています。
この部分では、急ぐことだけに価値を置かず、目先の利益以外にも気を配ることで、より強固な組織が築けることが示されています。
どんな組織にも、目の前の困難に対処しながらも、将来の可能性を見据える柔軟性が求められるのです。
ポジティブな姿勢はもちろん大切ですが、それと同時にネガティブな面にも目を向けることが大切です。
問題に立ち向かう際の決断力や強い意志と同じくらい、時間をかけて検討し、考え続ける忍耐力も組織にとって価値があると考えてみてください。
そのために必要なアプローチや考え方について、この本には具体的な戦略が記されています。
重要性を確認する具体的なキーワードと戦略
「急がば回れ」、この言葉が示すように、ネガティブ・ケイパビリティを育む環境は、急がず、立ち止まり、考える時間を持つことから始まります。
第2部で紹介されている20のキーワードと戦略は、具体的に組織がこのスキルをどのように育てていけるかを支援するものです。
例えば、「説得戦略と納得戦略」では、何かを無理に進めるのではなく、関係者が納得し、一緒に取り組むことの重要性が説かれています。
また、「対話能力トレーニング」では出演者が自分の考えを表現するだけでなく、他者の考えを受け入れる柔軟性を育むことが目指されています。
これらの戦略は、組織のトップだけでなく、あらゆるレベルの社員に活用できるもので、持続的に成長する企業文化の形成に寄与します。
ネガティブ・ケイパビリティと効果的な組織運営
本書が強調するのは、総合的な視点で組織を見つめ直すことで、より効果的でサステイナブルな運営が可能になるという点です。
中でも「デザイン思考・アート思考」は、問題解決の枠にとらわれず、創造性豊かなアイデアを生み出すための重要な考え方として位置づけられています。
他にも、「越境思考・共創体験」では、部門を超えたコミュニケーションやコラボレーションが促進され、社員各自が自らのアイデアを出し合いながら最適な戦略を見つけ出すことができる環境が整えられます。
このように、ネガティブ・ケイパビリティを育てていくことは、単にリスクを避ける方法ではなく、未知の可能性を開拓し、組織全体の成長を遂げるための鍵となります。
まとめ:ネガティブ・ケイパビリティの実践で変わる未来
本書「ネガティブ・ケイパビリティを育てる」では、実際のエピソードや具体的な戦略を通じて、組織がいかにして自己変革を遂げ、持続可能な成長を維持していくことができるかについて解説されています。
重要なのは、マネジメント層だけでなく、組織全員がこの考え方を理解し、実践することです。
ネガティブ・ケイパビリティは、ただの理論ではなく、実際の組織運営において大いに役立つアプローチなのです。
沢渡あまね氏が示すビジョンに倣い、組織が次のステップへと進む道を拓くための一つの選択肢として、ネガティブ・ケイパビリティを取り入れてみてはいかがでしょうか。
未来は明るく、多様性に満ちたものになるでしょう。
ぜひ、その可能性を探り続けてください。
最終的には、この概念を理解し活用することで、より強靭で変化に強い組織を築いていくことが出来ると私は確信しています。
あなたの組織でも、ネガティブ・ケイパビリティを育てながら、豊かな未来を創造していきましょう。