デジタル時代における終活ガイドブックの必需品
現代社会において、スマホやパソコン、そしてSNSといったデジタルツールは、私たちの日常生活に欠かせない存在となっています。
しかし、あなた自身が突然いなくなったら、これらのデジタル資産はどうなるのでしょうか。
もしあなたが、愛する家族や友人たちに余計な負担をかけたくないのであれば、「デジタル終活」という概念を理解しておく必要があります。
伊勢田篤史氏と古田雄介氏が著書である『デジタル終活ガイド』第2版は、今まさにその必要性を切実に訴える一冊です。
この本は、デジタル資産への対応方法を詳細に解説しており、特に各章の末尾に提供される「デジ弁からのアドバイス」が、より専門的な視点から読者を支援しています。
デジタル終活が必要な理由
私たちの生活の多くはデジタルに依存しています。
日々のコミュニケーションから金融取引、写真や動画の保存、さらには趣味に至るまで、スマホやパソコンを使わずにはいられません。
では、これらデジタル資産はどうやって扱っていけばいいのでしょうか?一般的な遺言では、銀行口座や不動産など、物理的な財産の取り扱いについては言及されますが、SNSアカウントやオンラインサブスクリプションなどのデジタル資産については、ほとんど触れられていません。
この新しい課題、といえるデジタル終活は、予期せぬ死後、遺されたデジタル足跡をどうするか、という重要なテーマです。
本書の特徴と新たな試み
著者陣はこのデジタル終活を具体的かつ実用的に解説しています。
まず第一に特筆すべきは、本書が単なる法的な手引きにとどまらず、現代のデジタルライフに深く踏み込んでいる点です。
スマホやパソコン、サブスクリプションなど、誰もが持っているであろうデジタル資産を一つ一つ丁寧に取り上げ、それをどのように整理・対処していくべきかを指南しています。
さらに、第2版では「デジ弁からのアドバイス」というセクションが追加されており、これは法律やITに精通した専門家による難解な法律用語を噛み砕いた解説です。
これにより、読者は一層明確にデジタル資産の取扱い方法を理解することができます。
直面する課題と解決策
デジタル資産管理の難しさは、それが形がないものであるため、見落としがちである点にあります。
例えば、SNSアカウントが残ることで、故人とつながっていた友人や家族がその記憶をずっと引きずったままになってしまったり、あるいは重要な情報が保護されないままインターネット上に残ってしまう可能性があります。
そんなとき、本書では事前にどのように情報を整理し、必要な準備をしておけば良いのか具体的な方法を教えてくれます。
ペーパーレスの時代だからこそのトラブルも、本書では詳しく触れており、復旧や消去への手順も段階的に解説されています。
家族への影響と備えの重要性
身内が亡くなったとき、家族は多くの手続きと向き合わなければなりません。
特にデジタル資産に関しては、「見えない」ことが負担を増大させる要因にもなり得ます。
本書では、故人が残したデジタル足跡の中でも特に大切な部分をいかに取り扱うか、具体例を交えつつ説明されています。
デジタル危機管理は、物理的な故人の遺品整理と同じくらい重要です。
本書を手に取ることで、家族を守るための備えができるようになるでしょう。
法律とデジタル資産のインターセクション
法律とデジタルの交差点であるこの問題にアクセスするのは一筋縄ではいきません。
しかし、著者たちは法律上の観点からも多面的にアプローチを試み、読者が本当の意味で自分のデジタル資産を理解し、保護するためのツールを与えてくれます。
著作権やプライバシー、アカウントの継承問題など、かなり専門的でありながら、法律的に合意の得にくい分野についてもポイントを挙げています。
まとめと読者へのメッセージ
伊勢田篤史氏と古田雄介氏の『デジタル終活ガイド』は、デジタル時代を生きる私たちにとって必携の指南書です。
各論章末の「デジ弁からのアドバイス」が設けられたことにより、専門的でありながらも親しみやすい内容に仕上がっており、デジタル資産の整理に躊躇している方でも、安心して読み進めることができます。
何よりも、この本を手にすることで、家族や大切な人たちに不意の心配をかけることなく、自分のデジタル資産について対策を講じることができるでしょう。
このガイドブックが多くの人に読まれ、多くの家庭に平和をもたらすことを願ってやみません。