50代SEの新たな活躍の場を探る
IT業界におけるSE(システムエンジニア)のイメージは、長年にわたって若い世代の職種として語られてきました。
「35歳がSEの定年」といった都市伝説さえ囁かれたほどです。
しかし、現実問題として、今のIT業界では50代以上のSEがいなければ回らないのが実情です。
本書「SEの5人に1人は50代以上 やりがいつかむ、12人の働き方」では、そのような50代SEの新しい働き方にスポットライトを当てています。
これからのキャリアを模索する50代SEに向けて、どのような生き方、働き方があるのかを考えるきっかけを提供してくれます。
ベテランSEの存在感と価値
本書で取り上げられている一つのストーリーに、「替えがきかない人として存在感を示すベテランSE」があります。
SEとしてのキャリアを重ねるごとに蓄積された経験と知識は、他の世代には替えがたい貴重な戦力です。
特に大規模なプロジェクトや難易度の高いシステム改修では、そのようなベテランSEの知見が不可欠です。
「この人がいなければプロジェクトが進まない」というような存在感を持つことで、それ自体が大きなやりがいとなるでしょう。
彼らのキャリアは、単に専門的なスキルだけではなく、人間関係の構築能力やプロジェクト全体を見渡す広い視野とも評価されます。
女性SEの職場環境の工夫と働きやすさ
IT業界では、近年増えてきているとはいえ、まだ女性SEの数は少ないのが現実です。
しかし、本書で紹介されている「職場環境を自分で作り、働きやすさを手に入れる女性SE」のエピソードは、多くの女性SEに希望を与えてくれます。
職場でのハードルを乗り越えるために、自分らしい働き方を積極的に模索し、環境を整えることで自らの働きやすさを確保していくプロセスは、多くの共感を呼ぶことでしょう。
また、女性ならではの視点からのアプローチやその強みをどう活かすかについて考えさせられます。
自分の職場の改善を通じて、周囲にも良い影響を与える可能性が秘められています。
56歳SEの貴重な戦力としての活躍
年齢を重ねるごとに、かつての経験が新たな価値を生むことがあります。
「昔取ったきねづかで貴重な戦力として働く56歳SE」はその典型です。
長年培ってきたスキルやノウハウを活用し、さらに新しいテクノロジーにも対応することで、企業にとって不可欠な存在となっています。
年齢による制約を逆に利点として捉え、若い頃には見えなかった視点からプロジェクトをリードする姿は、他のSEたちにとってもお手本となるでしょう。
また、リーダーシップを持って取り組むことで、後輩の育成にも大きく貢献しています。
クラウドソーシングで新たな目標を見つける
50代を迎え、次のキャリアをどう歩むかを考えているSEにとって、「クラウドソーシングで定年後の目標を見つけた男性」のストーリーは大きな励みとなるでしょう。
クラウドソーシングの世界では、自分の好きな時間に、自分のペースで仕事を進めることができ、これによって自由な働き方を実現しています。
専門知識を活かし、オンライン上で仕事をすることで、地理的な制約もなく、多様なプロジェクトに関わることができます。
これを通じて、新たな仕事の形を見つけ、定年後も充実した日々を送ることが可能です。
趣味が本業に変わる気象予報士SEの道
時には、思いがけない趣味がキャリアの中心に据えられることもあります。
「個人的に取得した気象予報士がいつしか本業になったSE」は、その一例です。
趣味として取り組んでいた気象予報に関する知識とSEとしてのスキルを融合させ、新しい価値を創出しました。
彼は気象データの解析を通じて、企業にとって価値ある情報を提供するなど、他にはないユニークなポジションを築いています。
このように、自分の興味を追求することで、次のステージで輝く可能性を切り拓くことができるのです。
彼の働き方は、多くのSEに新たな可能性を感じさせてくれるでしょう。
まとめ: SEの未来を切り開く多様な選択肢
本書を通じて紹介される12人の働き方は、50代以上のSEにとって多くのヒントを与えてくれます。
日々技術が進化するIT業界において、年齢を重ねたからこそ発揮できる力や新しい働き方のアイデアは無限に広がっています。
もし将来に不安を感じているのであれば、本書から得た知見を基に、自分に合った働き方を見つけ、一歩を踏み出してみてください。
50代SEとしてのキャリアをますます豊かなものにすることができるはずです。
- 著者名: 松山 貴之/牛島 美笛
- 出版社名: 日経BP
- ISBNコード: 9784822258412
- 発売日: 2018年05月26日頃